目次
質問者:横田さち子さん
7期の横田です。
次女の症状に対してのアプローチ方法で悩んでいます。高校2年でバレーボール競技のため寮生活をしている娘ですが、ケガはほとんどないものの、日々なにかと慢性痛がありながら、競技をしています。
今回一番お聞きしたいのは呼吸改善のためのアプローチ方法です。明らかに本人が呼吸が楽になった、もしくは脱力した、と実感する効果のあったものについて、アプローチのご経験を、みなさんにお聞きしたいです。
直接的なアプローチはもちろん、遠隔でのアプローチのご経験があれば嬉しいです。
背景として、娘の現在の症状ですが、
○左アキレス腱周囲の痛み(触診、誘発テスト的に長母趾屈筋腱の痛み、三角骨なし)
○右膝内側の痛み(伏在神経に沿って)
○左肩の痛み(肘屈曲位で後方へ引く動作、痛みの部位はあちこちへうつる)
といったところです。
その他、下肢のむくみが強く、やや光過敏があるのが気になります。
痛くて競技ができないほどではなく、本人曰く、しっかり体が芯からあたたまってくると、どこも痛くなくなる、アドレナリンが出ると大丈夫、とのことで、おそらく器質的には問題ないかと。練習のアップで回転レシーブもあるので、前庭覚への作用も痛み緩和に寄与しているのかなとも考えたりしています。
最初はアキレス腱周囲の痛みが中心で、その時は、遠隔ですが様々アプローチし、以下のセルフトレーニングもしてました。
1.椅子での三面運動(広背筋活性含む)
2.伏在N、閉鎖N、脛骨Nスラッキング
3.股関節内外旋ストレッチ
4.立位での膝腰あげ(引き上げ側を下に脱力してぶら下げた状態から)
5.足底の感覚入力
6.パーミング
継続していた最中、右膝と左肩の痛みが出てきました。
現在、来週に春高県予選が迫る時期でして、ややプレッシャーがかかる時期ではあります。
各関節の運動反射の問題はあるかと思いますが、現状、呼吸、横隔膜のコンディションを整え、動く前提を作ることが先決かと考えています。
またスラッキングが効果が低いので、まず脊髄ストレッチの必要性があるかと思いますが、方法について分からないので動画などあれば共有して頂けると助かります。
長々すみません。よろしくお願いします。
回答:鈴木亮司
脊髄ストレッチはこちらです
慢性的な痛みの場合、脳幹の働きが疑われるところですが、まずは呼吸の改善のアプローチですよね。
アスリートであることも考えて以下の内容を考えてみました。
・ワニの呼吸(うつ伏せ呼吸)
・体幹の可動域を出す運動(四つ這いの3面運動、上体伸ばしからの3面運動などを呼吸を大きく行うことを意識しながらゆっくりと行う)が今すぐできる内容かと思います。
横田さち子さん
ありがとうございます。 脳幹に対してのアプローチは、呼吸、目、脊椎の動き以外に必須なものはありますでしょうか。 脊髄のストレッチ他、ご教示頂いた内容行ってみます。
鈴木亮司
脳幹へのアプローチ方法の詳細は5期20回の本講座で舌下、舌咽神経、迷走神経、副神経など脳幹に関連する動きの詳細を説明していますので、ぜひご覧ください!
横田さち子さん
ありがとうございます。
やはり中脳、橋、延髄、脳幹全体を網羅して、アセスメントしながら何が効果あるかをつぶしていくべきということですね!優先順位を安易に決めてしまってはだめですね。よく勉強させて頂きます。
思春期娘を遠隔でフォローは至難の技ですががんばります!
鈴木亮司
僕の娘も18歳なので同世代ですが、
我が家は障がい児なので反抗期はありませんが、なにぶん身内は色々な意味で難しいですよね。
脳幹の働きは上半身(T6から上)は前側の屈筋群の影響があり、巻き肩への影響が考えられます。
特に中脳(動眼、滑車神経)、延髄(舌咽、迷走、副、舌下神経)が影響が大きいので、そこから姿勢の崩れを起こして、様々なタイミングがズレてくるパターンもありそうですね。
スポーツのパフォーマンスや技術は繊細なので、何からバランスが崩れるかわかりませんが、バレーボールのアタックもそうですが、空中での姿勢の操作が大事なのはスポーツの共通なので、トランポリンで空中姿勢のバランスや踏切のタイミングや感覚などを磨く機会があれば…
とは思います。
横田さち子さん
ありがとうございます。受講前からアーカイブなどで娘さんのお話されていたので、長女、次女と同じ年代だなと思っていました。身内は本当に効果が出にくい印象…お客様の方が反応がちゃんと出るのは気のせいだろうか、といつも思います...
教えて頂いた呼吸を意識した脊椎の運動と中脳、延髄を中枢とする脳神経からアプローチを組み立ててみます。細かく教えて頂きありがとうございます。
トランポリンですが、小6の末っ子(バレーボールしてます)が最初から姉たちより踏み切りのタイミングをつかむのが上手なんですが、幼少期から夏休みの度にトランポリンを習いにいってたのが影響したのかもしれませんね。
次女は寮生活なので、何か違う形で空中のイメージをつかむ方法があればと思いますが、本人にも伝えてみます!
回答:田代 慎一郎さん
実はシューフッターもっているので、靴の視点でお嬢さんのリスク確認させてください。
バレーボールのシューズには、信じられない加工がしてある場合が多いです。
ジャンプ着地の捻挫を嫌い!内側への傾きが初期設定でほとんどのシューズについています。
過剰回内(オーバープロネーション)をご存知のかたはその意味とリスクがわかると思います。
参考に、ソールが薄くて全方位に動く卓球シューズとの比較画像を挙げます。
写真の靴は、アシックスだけあってまだかなり良心的な傾きに押さえてあります。
僕の心配が当たっていれば、内側への傾きの強い靴を使っていないでしょうか?
右膝内側の痛みは構造上、慢性的に発生することが予想できるので心配です。

横田さち子さん
田代さん、ありがとうございます!受講前からビジョントレーニングの補講など興味深く聞かせて頂いてました! 実は私もスポーツシューフィッターの資格をもっていまして...様々な競技がある中、特にバレーボールシューズの難点は痛感しております。アシックス、ミズノすべてのシューズをチェックし、インソールを駆使してきました... 次女は中学時代は外側支持性が高いタイプのシューズを履いていたんですが、本人はプレイ中に足元が外側へぶれそうになった時に、シューズで強制的にそれを止められると体の連鎖を使った回避ができず、感覚的に良くない、ということであえて外側支持性が乏しいものを選び、高校では使っています。 ただ、中学時代に履いていたせいもあったんでしょうか、今は足部自体が過回内に入りやすい傾向があり、本来スパイクのステップ動作での留め足になる左足は、外側縦アーチを使い、一番かたい関節の状態で飛ぶべきところ、過回内となり一番柔らかい関節の状態で飛ぶことになる、それを繰り返しています。そこから大腿骨、骨盤、腰椎のエラーは既に生まれているので、大腰筋の引き上げへと連鎖することは難しく、広背筋は過活性状態、結果、スパイク動作の左上肢の振り上げは生まれず、肩関節単体での関節運動になりがち、というストーリーかと。 仮説はたてるものの、痛みがあちこちに生まれると、亮司さんの仰るように脳幹の問題など、そもそも関節運動だけでは解釈できないのでは、と思い、ここで相談させて頂きました。 田代さんにお聞きしたいことがあります。右膝内側の痛みが構造上、慢性的に発生することが予想できる、とのことですが、詳しく教えてください!左のエラーを考えると仮説は立ててしまえるんですが、構造上、という意味を知りたいです。お忙しいところ何度もすみません。お時間のあるときにでもお願いします。
田代 慎一郎さん
横田さん
すでに、僕が提案してみようかと思った以上の取り組みをされていたので、
釈迦に説法状態で大変失礼しました。
右ひざの内側の痛みのストーリーについては、おそらくプレーを一切見ていない僕がお伝えするよりも正確な見立てがお済なのでは、と思いますが、一応お伝えしますね。
○左アキレス腱周囲の痛み(触診、誘発テスト的に長母趾屈筋腱の痛み、三角骨なし)
○右膝内側の痛み(伏在神経に沿って)
○左肩の痛み(肘屈曲位で後方へ引く動作、痛みの部位はあちこちへうつる)
えっと、右効き選手で、アタックを打つ前提(三ドルブロッカーや、リベロではない)という前提でお話ししますね。
バレーのことはあまりわからないのですが、右効き選手が踏み切るときは、
・走る→右足でジャンプ位置決定+急減速=ベクトルを水平から垂直に変換→左足接地時点で体重を床にぶつけ反力を生む→両足踏切
ということで、瞬間的に大きな力がかかるのは左足、総体的に長い時間負担がかかるのが右足なのでは、と考えました。
過剰回内の状態で膝に負荷がかかると、内側がつぶれるか、外側の靭帯が引き伸ばされるか。
右ひざには、強めで長い負荷がかかるなら、瞬間的に引き伸ばされる外側より、継続的に押しつぶされる内側の半月板損傷が考えられるのでは?という意見です。
その後、着地するときに右手を振り切るために左側に傾いた体のまま着地するので左足に負担。今は、引き伸ばされるアキレス腱ですね。
左肩は、打つ前に体が傾きすぎるのか、胸郭を上手に回す空間がないので、左肩だけを後ろに引くことで右腕のベクトルを相殺している可能性があるので、左肩甲骨周辺でその都度負担部位を変えてかばっているのかな?と感じます。
ジャンプし続ける以上、右足はブレーキをかけ続ける。
そのうち、足の痛みやへたりで高さが出なくなるから、その分助走を頑張るので、余計に右ひざの負担はあがるのでは?
という勝手な思い込みです。
見ていないので、全然違っていたらごめんなさい((+_+))
横田さち子さん
とてもよく分かりました!
急減速をかける右足ですが、本来背屈位で減速したいところ、本人の助走の早すぎる傾向があること、トスがネットから手前に離れることがどうしてもあることから、底屈位で減速してしまうことが度々。
アキレス腱、長母趾屈筋腱の痛みの前に、中学時代から痛みが出やすかったのが右膝でした。納得です。
助走のタイミングの安定により改善してきてましたが、数ヶ月前にセッターさんが交代したこともあり、かぶり始めていたことを思い出しました。165cmのチビウィングのため、高さはジャンプ力のみ…なのに腰椎前弯、巻き肩タイプ。どうにか使い方を脳レベルで変えないと、仰る通り、内側半月板、レシーブ動作も予想できるエラーが生じてるので前十字まで...と危惧しています。
肩の痛みがあちこち移る理由も分かりました。ありがとうございます。
もう一点だけお願いします!
ビジョントレーニングの観点から、ここにアプローチするとしたら、どのような方法があるでしょうか。また、天井の高い広い体育館へ移動した時の距離感のずれを修正するために、現場でできるセルフトレーニングがあれば教えてください。
プレーの動画、眼球運動の評価動画がないまま聞いてしまってすみません!
田代 慎一郎さん
結論としては、次のようなビジョントレーニングがあり得るかな、と。
〇1人でできる
・ヘッドスイングを伴う上下動誘発する前後型のスワイショウ
・ひし形運動で右肩あげ、左肩おろし左股関節脱力おろしをしながら、両眼の水平キープ+右腕の振り下ろし動作
〇装備がいるけど、きっと効果あり
・JPクッションorトランポリンによる上下の視線移動状態での視線キープと
抜重状態での腕振り下ろし
〇体育館でネット使っての練習
・台に乗って打点位置での視界になれる。
・打たずにキャッチを繰り返す。
・打点位置周辺で床に手を付けて感覚を調整する。
(雑巾がけなどでも効果あるはず)
◎おすすめの補助
迷走神経出口に皮膚刺激テーピング
考察した理由も、スーパー長くなりますが、次に一応載せておきますね。
*寮生活で遠方+思春期で親の介入を嫌う、ということで、ほぼほぼ机上の空論になってしまうと思います。ごめんなさい。
※長文が折りたたまれませんね。
閲覧性が悪くなるので、削除します。
テキストは、横田さんにお伝えしておきます。
横田さち子さん
考察内容、目標設定とそれに向けたアプローチ隅から隅まで読ませて頂きました。とても詳細にありがとうございます!
まだお聞きしたいこともたくさんあるので、ご提案して頂いたように直接やりとりさせて頂きます。よろしくお願いします。
