坐骨神経痛と肋間神経痛の痛み改善(2025/4/4)

目次

質問者:伊藤 誠史さん

■何について知りたいですか?
痛みの改善

■質問の対象者について記入してください。
①自分自身か、別の人か:① 自分自身
②年齢:② 47歳
③性別:③ 男
④職業:④ 会社員、デスクワーク
⑤既往歴(怪我・病気の経験):⑤ 6歳時に虫垂炎で盲腸切除、37歳時に腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、股関節唇損傷、糸球体腎炎。このタイミングから、坐骨神経痛や肋間神経痛が発症。

■現在の状態を詳しくご記入ください。また、目標設定があれば教えてください。
①坐骨神経痛
左右のハムストリングス中間から膝裏に掛けて、つるような痛み。(10段階で4程度)
腰を反ったり菱形体操すると痛みが出る。
仰向けで寝た姿勢で膝を伸ばして踵を天井に向けて上げていくと30度程度で膝裏に張りが出て硬くなり、それ以上は上がらない。
②肋間神経痛
1カ月に1回、3日連続で肋間周りの正面や側面に疼痛が出る。(10段階で2程度)
痛む位置は毎回変わり、左右正面のどこが痛むか規則性はない。
痛み出すと、2、3回疼いた後、5分から10分は痛まない。その繰り返しです。
就寝中に起きる程の痛みではない。

■その痛み、不調はいつからですか?
10年前

■(痛みがある場合)痛みのレベルを10段階評価してください。※ 1=無痛 ~ 10=耐えられない激痛 4(3よりも少し痛い)

■日常生活動作で困難を感じる動作はありますか?
腰を反ったり、捻ったりする動作や歩行など

■あなた(象者)の普段の姿勢を教えてください。(猫背で反り腰 等)
猫背気味
デスクワークを10時間(土日休み)、睡眠時間は7時間
冷えや浮腫はありません

■運動習慣はありますか?運動習慣がある場合は、何の運動かどれくらいの頻度で行っているか教えてください。
朝晩に体操

■食習慣を教えてください。※栄養素の不足によって起こる不調があるため
食習慣はマゴワヤサシイ和食3食

回答:永野 真治さん
【所感】
頂いた情報から普段デスクワークを10時間もされていることが、お困りの状態の大きな要因になっていると感じました。
①坐骨神経痛に関しては、座りっぱなしの姿勢では、お尻の筋肉はやや伸びた状態、ハムストリングスはやや縮んだ状態で固まっていると推測できますので、それらの改善をされるとい いと思います。
②肋間神経痛も上記と同様に座りっぱなしの姿勢で、深い呼吸が出来ずに呼吸に関する肋骨周りの筋肉(肋間筋)が硬くなっている可能性があります。
あと、頂いた情報には記載されていませんでしたが、眼精疲労も相当おありかと思います。


【改善方法&《エクササイズ》】
まずは、より簡単にできる②に対する改善方法からお伝えします。

《ヘルピックチルト》
→呼吸改善&骨盤のコントロール
• 床の上で上向きに寝て、両膝を曲げます。(足は腰幅程度に開く)
• その状態でゆっくり大きく呼吸をします。
• 吸う時は、肺にたくさん空気を入れて肋骨周りの筋肉をストレッチするような感覚で行います(。胸式呼吸)
※この時、床と腰椎の隙間は広がります。
• 息を吐く時は、お腹を凹ませる意識でゆっくり吐いていきます。(腹式呼吸)
※この時、床と腰椎の隙間はなくなり、腰椎はビタッと床に付き、尾てい骨が床から少し離れます。
上記の動作を10回程度繰り返します。
※もし、息を吐いてお腹を凹ませるのが難しければ、息を吐く時に両腕を天井方向に向けて伸ばしてい(く「前になれえ」の腕の使い方)とお腹を凹ませやす くなります。
※この時、お腹の表面ではなく奥の方(腹横筋)に効いてる感じがあればOKです。
このペルピックチルトという動きで呼吸が楽にできる状態を作ると共に骨盤の前後傾をスムーズにさせます。
※反り腰気味の人は、骨盤後傾位をより意識的に行なう。

《キャット&カウ》
→骨盤〜背骨〜肩甲骨を連動させて動きを滑らかにする
• 四つん這いの体勢から背骨を丸めたり反らしたりする動きなのですが、初めてやる方は腕が曲がってしまったり、胴体が前後に動いたりするのでY、uo Tubeなどで正しいやり方を確認してみてください。(一般 的には「キャット&ドッグ」と言われています)

ポイントは、呼吸を意識して骨盤〜背骨(腰椎-胸椎-頚椎)〜肩甲骨を連動させながら行うとことです。
※《キャット&カウ》をする時には、2パターンの呼吸があるのですが、、、
まずは、一般的な息を吐きながら背中を丸め、息を吸いながら背中を反るパターンを試してみてください。
いま背中を反るとお伝えしましたが、もし背中を反ることに抵抗があれば、お腹を床方向に落としていくという意識でやってみてください。
※動きとしては同じものになりますが、意識を変えると感覚は変わり ます。上記の動作を10回程度繰り返します。
※先にお伝えした《ペルピックチルト》が上手く出来ていれば、《キャット&カウ》の骨盤の動きもしやすくなって、背骨との連動もしやすくなっているはずです。
※《キャット&カウ》は、呼吸に合わせて動くくとがポイントななで、先に《ペルピックチルト》で呼吸のしやすい状態をつくることが必要です。
※《キャット&カウ》が上手く出来ればお尻の筋肉やハムストリングスの筋コンディションを整えることも可能です。

《パーミング》
→眼精疲労の改善
両目を開けたまま左右それぞれの目を手のヒラに窪みを作った状態でおおいます。外から光が入らないように指の隙間をなくし、手の縁を目の周りに密着 させます。
※あくまでも眼球は圧迫しないように注意してください。
(3〜5分程度維持する)

普段は目を開けて様々な情報を目から取り込んでますが、この状態が長時間続くと脳はパニック状態になって います。眼精疲労は、脳もかなり疲労している状態なのです。
ですから、目を開けた状態で情報を遮断することで脳を休めさせることが出来るの です。効果としては、リラックス感や体がラクになっていくような感覚になります。
※但し、伊藤さんのようにかなり目を酷使している方は、効果が強すぎて気分が悪くなるリスクもありますので、もしそのような反応があればすぐに中止 してください。

以上になります。
ご不明な点は、ご質問頂ければお答えさせて頂きます 。
回答:田代慎一郎さん
伊藤さん
10年前から継続する坐骨神経痛と肋間神経痛でお困りとのこと。
本当にお辛いですね。

今後、体芯力の学びを深められ、体芯力体操の動作理解が深まり、神経系の学びを重ねると、ご自身の症状について誰よりも深く内省できると思います。

肋間神経痛での記述
>痛む位置は毎回変わり、規則性はない。

という表現から、外傷急性期ではない(壊れている個所があるための痛み)ではないと推測できます。
*外傷があれば、同じ場所が痛むはずですね

何らかの原因の受傷のあと、ケガをかばって体の動きが低下しているため、動きの悪さが神経の動きの低下をまねき、痛みを感じさせていると思われます。

坐骨神経痛での表現で、
>ひし形体操で痛みが出る
>仰向けで寝た姿勢で膝を伸ばし踵を天井に向けて上げていくと 30度程度で膝裏に
張りが出て硬くなり、それ以上は上がらない。

という表現から、体芯力体操も再現できずお困りだと感じました。

体芯力では、受傷部位など痛みの出ている部分は極力動かさず、
まず、遠くからのアプローチで痛みをとります。

トップダウン(中枢の脳から、四肢末端へのアプローチ)が有効です。
・呼吸 の改善
 *横隔膜へのアプローチ
・眼などの中枢神経 のアプローチ
 *眼球運動 等の刺激
・神経を緩めるスラッキング(神経の糸電話をストレッチの逆で縮めてゆるめる)
・皮膚をさするボディマッピング


これらのうちで、ビジョントレーナーとして、体芯力のプログラムでお伝えしやすいものをピックアップしてお伝えします。

【基本方針】
 ・呼吸から改善をするために、『呼吸できる体』を段階的に引き出す。

① 神経スラッキング+ビジョントレーニング
② 肋骨周辺ボディマッピング
③ 体芯力体操の組み合わせ

→④呼吸できる体を作り、呼吸から深部の拘縮を改善


●三叉神経スラッキング+眼球運動(外に動かす指を見る:体側への追尾)
https://youtu.be/rGAG_SYWkNM?si=F_0YNy6Je9plePFz

三叉神経の第一枝をリリースすることで、眼球運動が飛躍的に改善します。
三叉神経スラッキングの後、片目を隠し、反対の眼を指で体の外に誘導するビジョントレーニングをおこなうことで、効果的に脳を刺激(外へ動かすと眼の内側に光が当たり、右眼なら左脳、左目なら右脳に刺激できる。)

●副神経(迷走神経)スラッキング+横隔膜刺激(肋骨さすりボディマッピング)
https://youtu.be/sRytWUL-oBE?si=VHYZqShY_4ePdRVR

副神経は呼吸系をつかさどる迷走神経刺激となるため、横隔膜への刺激が入りやすくなります。
肋間神経痛の改善のために、腹腔周辺のリリースはとても効果的だと思います。

横隔膜の刺激が入ると、体の内側から背中を緩めることができる+連動する腸腰筋がリリースされ、骨盤周辺の力みが解除されることで、坐骨神経の改善も見込めます。

ただ、まだこの段階では呼吸が十分深くできないので、補助動作として、肋骨をさする動きを繰り返してください。
ひし形体操ができない、ということは、肋骨周辺が硬直していることが予想できます。


●ひし形体操のための 「キャットカウ」「ひざまたぎ」
 体芯力体操のひし形体操を指標動作(改善チェックのテスト)として行います。

 体側を伸ばそうとすると、痛みが出たということで、左右の動きではなく前後から稼働を引き出すキャットカウ、手ではなく、足から動きを引き出すひざまたぎに取り組むことで、腹腔周辺・肋骨周りをゆるめ、呼吸へのアプローチが行えるのではないかと思います。
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