パーキンソン病の利用者さんです。(2025/10/9)

目次

質問者:遠藤吉子さん

9期の遠藤です。
76歳男性 パーキンソン病の利用者さんです。
55歳くらいから発症
緊張すると動けない。手が震え
から始まり、現在は薬が効いてる時は日常生活動作は可能ですが、
手足、頸の可動域は狭く、前屈では膝あたりまでしか手が届かない、後屈は頭が少し後ろに行く程度。
薬効が切れる(OFF状態)と手の震えから始まり顎まで揺れて来て、体はカチカチになり椅子から立ち上がることも出来なくなりますが、立位と方向転換の介助をするとフロアー内は自力で歩行出来る状況です。(すくみ足は今までの関わりで少し軽減しました)
体芯力の体操で症状が改善されてる方がいらっしゃると先日聞いたので、
何から始めたらいいのか、教えて頂けませんか?
深呼吸とパーミング、スワイショウなどを試していますが、デイサービスの個別体操では床に寝転んでの体操が難しいので、座位か立位で出来ることをワークの中から探しています。
OFの時を狙って体操してもらってますが、最近はONの時に可動域を増やす方がいいかなと悩んでいます。
よろしくお願いします🙇‍♀️

回答:三部優子さん
5期 理学療法士 三部と申します😌
現在はデイサービスに勤務しています

パーキンソン病の四大兆候全てが症状に現れている方なんですね

振戦が強い方に体芯力を実施した経験がないので、動作緩慢、固縮、姿勢反射障害の方の改善報告になってしまいますがすみません🙇‍♀️

1️⃣呼吸
座位でテーブルに前腕をつき、なるべく骨盤前傾、胸椎伸展(腰痛なければ)
踵を引き、前足部に荷重
胸部前面にも空気を入れるイメージで

2️⃣背骨の三面運動(座位)
屈曲伸展:呼吸と合わせる事でリズムを取る
側屈:一点を見てもらう事で可動域改善あるかもしれません
回旋:眼球を先に動かす事で可動域改善あるかもしれません

3️⃣膝腰上げ(座位)
骨盤を動かすのが難しい場合は、
足踏み、踵上げの動きに骨盤の挙上と重心移動がついてくればいいかなと 
エアスタビライザーに座ってもらうと、重心移動が促しやすいです

4️⃣菱形体操(座位or立位)
2軸感覚と立ち直り反応の学習
ゆっくりとした動きで、指先と視線を合わせる事でやり易くなるかもしれません

5️⃣スワイショウ
特にリズム(裏拍)が重要かなと思っています
可能でしたら、回旋スワイショウの際、一点を見たまま行ってみて下さい

筋緊張が亢進状態の場合は、ゆっくり大きな動きの方がコントロールしやすいと思います


上記エクササイズで立ち上がりや初動のスムーズさ、方向転換、歩行時の歩幅、スピードの改善がありました

私の事業所の利用者さんは通所時間に合わせて服薬されている方がほとんどなので、完全OFF状態でアプローチする機会はないのですが、

機能神経学の観点から考察すると、

ONの時に体芯力体操を実施し、
視床ー小脳ー大脳皮質ループの再構築を図る
神経の可塑性を促す

OFF時は遠藤さんが既に施行されているパーミングや呼吸で脳幹の安定を促す

のがいいかと思います


よろしかったら、実施されてみたフィードバックをいただけるとありがたいです🙇‍♀️
遠藤吉子さん
早速の詳しいご指導ありがとうございます。
水曜日は1日、金曜日は午後半日デイサービスに来られているので、ご指導いただいたことを取り入れて、メニューを考えて行きたいと思います。
またご報告させて頂きます。
よろしくお願いします🙇‍♀️
中村 啓悟さん
遠藤さん初めまして!
認定講師の中村と申します。
連絡遅くなりました。

理学療法士として、病院 → デイサービス → クリニックを経て、現在は在宅分野で高齢者のリハビリに携わっています。

デイサービスでは、どうしても個別対応の時間を確保するのが難しい場面、多いですよね。

パーキンソン病の方では、脊柱全体が「一本の棒」のように硬くなりやすく、
腹部も固めやすいことから便秘を抱える方も少なくありません。

このような状態で「背筋を伸ばして」と意識させると、防御的に身体をさらに固めてしまうケースも多く見られます。
割と体幹回旋・側屈から入ると自然に身体が伸びて自然と身体が伸び、動作時の重心操作の範囲が広がるケースを多く経験しています。

また、脊椎を動かすことで小脳が活性化し、
パーキンソン病と深く関わる大脳基底核にも良い影響を及ぼしたりもします。
(このあたりは「力ノ巻」で詳しく学んでいきます)


「体ノ巻」での体操としては、
これまでの内容に加えて、
・椅座での脊椎の3面運動
・椅座での足またぎ
このあたりから取り入れてみるのがおすすめです。

デイサービスでは時間的制約もあるため、
自主トレーニング(セルフケア)の指導も併用していくこともかなり重要になってくると思われます。


オンオフ現象に関しては、遠藤さんのご判断の通り、「機能的訓練」と「動作訓練」を分けて実施されるのはとても良いアプローチと思います。
遠藤吉子さん
早速の詳しいご指導ありがとうございます。
水曜日は1日、金曜日は午後半日デイサービスに来られているので、ご指導いただいたことを取り入れて、メニューを考えて行きたいと思います。
またご報告させて頂きます。
よろしくお願いします🙇‍♀️
目次