肩を脱臼した方へのアプローチを教えてください(2024/4/20)

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質問者:小野 亜矢子さん

1週間前に肩を脱臼して固定したまま動かしていないという生徒さんに明日お会いするので、何かできないかなと思っています。
腕が上げられないと仰っているようなのですが、骨が折れていないのであれば、肩周りのスラッキングはやってみてもいいのでは?と思ったのですがいかがでしょうか。

回答者:田代さん
スラッキングは、他の方にお任せいたします。
体芯力一般論と、目について少し。
①呼吸
患部を動かさないアプローチとして、鉄板のアプローチです。
座位の垂直キャットカウと、手を上げない菱形体操で胸郭と脊椎の動きが出て、横隔膜が動きやすくなると思います。
ただ、できるなら、体幹も動かそうとせずイスに座ったままで腹圧を感じる呼吸をわかってもらえると肩の負担は少ないです。

②ミラー関節

右肩なら左股関節
左肩なら右股関節
患部から遠いので運動アプローチが取れます。

③患側に対する健側への刺激
左肩の怪我に右肩の運動刺激も効果があります。

④ボディマッピング(中央と末梢)

左肩に対して左の指先や手のひらをさするボディマッピングの入力。

共通するのは、患部を動かすアプローチをしなくても、脳にアクセスしてからだの動きを改善できるという捉え方です。
小野さん
貴重なご意見ありがとうございます🙇‍♀️
まずは腹圧を感じるポジションを確認して、ゆっくり呼吸➡様子を見ながら椅子に座ったキャットカウと腕を上げない菱形体操で胸郭の動きもチェックしてみます!
ミラー関節と反対側の肩からの運動刺激は、患部から遠いのでアプローチできそうですね。
末梢からのボディマッピングなども含め、現在までに習ったことをやってみます!
もう一つ田代さんに是非お伺いしたいのが、ビジョントレーニングです。
痛みがある場合はまだパーミング程度にした方がいいでしょうか?
田代さん
パーミングは、いつでも良い効果がありますよ!
眼について、少しだけ提案します。

無難でリスクが少ない方法
片目をふさぎ、その人自身に指をあげて自分の爪を見てもらい、秒速1センチでゆっくり同じ方向【痛みのある側】に動かしてもらいます。

痛みのある側に動かすと、反対の脳に刺激が入るのが眼のシステムです。
これを、左右の眼で行います。

開いている眼の左右を切り替えたとき、

*手の動きが止まる・遅くなる
*呼吸が浅くなる・止まる
等の変化が確認できると思います。

そちら側は負荷の高い眼ですから、無理はさせないでくださいね。

回答者:三部さん
基本的なことしかアドバイスできないのですが、ご存じの内容でしたらすみません🙇‍♀️
その方はもう安静度はフリーですか?
問診
⚪︎どの様な状況で脱臼したのか
⚪︎前方、後方、下方、上方どの方向に脱臼したか(多くは前方なので、脱臼肢位(肩外転外旋伸展)は要注意⚠️)
⚪︎受診時の検査でどの様な説明を受けたか(組織の損傷の程度や安静期間など)
⚪︎薬物療法の有無(痛み止めや抗炎症剤)

触診・視診
⚪︎熱感や腫脹、浮腫(抹消部も)
⚪︎抹消部の感覚が正常かなど確認

アプローチ

医師からの指示の安静度にもよりますが、現時点では田代さんがおっしゃられていたように、患部外のアプローチがいいのかなと思います。

肩関節へのアプローチ
⚪︎肩甲骨や鎖骨への感覚入力
⚪︎肩周囲の2点識別覚のエクササイズ

安静度フリーの場合 患部外アプローチ、感覚入力後
⚪︎肩関節の自動介助運動
 はじめは肩甲骨が安定するので、仰臥位の方がいいかと思います。
 小野さんが上腕を支えて一緒に動かしてもいいと思います。
⚪︎痛みがなく、可動域がある程度あれば8の字体操もいいのではないかと思いました。

 

スラッキングについては、前方脱臼だった場合、正中神経や橈骨神経のスラッキングは再脱臼のリスクは低い気がしますが、経験がないので有効性はわかりません💦

心因性の痛みや可動域制限がある場合は、ミラーセラピーも考えられますが、まだ受傷後1週間でこれからリハビリという段階だと思うので、まずはベーシックアプローチと痛みの経験を繰り返さないというのでいいのではと🙇‍♀️
小野さん
三部さん、コメントありがとうございます!
大変嬉しいです。
当事者には私もまだお会いできておらず、詳しい状況も聞けていないので、三部さんが問診について教えてくださった内容を踏まえて確認してみます!
おそらく前方脱臼だと思います。
まずは田代さんがご紹介くださった患部外アプローチから試みて、可能であれば介助付きで肩関節の動きもやってみます。
肩周囲の2点識別覚のエクササイズについて調べてみたのですが…これは固有受容覚のアプローチになりますか?
専門器具など持ち合わせていないのですが、他の方法での対処や、またそれによってどんなことを評価したら良いかなども是非教えて頂きたいです。
三部さん
2点識別覚について
私は感覚入力のアプローチで用いる事が多いです。
道具はボールペンやシャープペンのペン先2本で充分だと思います。
ペンが見えない状況下で
⚪︎2点タッチしたり、1点タッチにしたりして、1点か2点か当ててもらう
→同時に2点の感覚をだんだん狭くしてみて、2点識別の限界をみる
⚪︎左右でやってみる
「え??意外とわからない!?」
「左右で違う!?」
などクライアントさんにも気づきがあり、ゲーム感覚でできるので盛り上がります。
経験としては、膝痛、仙腸関節痛の改善、可動域の拡大の効果がありました。
私自身、同僚に腰部の2点識別をやってもらったら、このままブリッジできるのでは?🤣と感じるくらい後屈可動域が広がりました!
実際に肩関節を動かす準備のアプローチとしていいのではないかなと思います。
小野さん
なるほど!感覚入力としてですね!
仙腸関節炎の方はヨガをしてる女性に多くいますので、ちょっとクラスでも試しにやってみます。
ありがとうございます!
三部さん
クラスでやってみたクライアントさんの反応など教えていただけると、私も勉強になります!🙇‍♀️
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